当協会では、連続講座『文化財もの知り学』を平成20年度から毎年開催していますが、平成25年度も5月11日に初回を迎えました。近年は「新発見・発掘調査員が語る近江の遺跡と歴史」と題して、当協会が実施した調査のなかでも、とくにその内容が充実しているものをピックアップし、受講者の皆様に成果を公表するスタイルをとっています。今年度は、計9回の講座を予定していて、おかげさまで定員を上回る方々に事前申し込みをいただき、めでたく満員御礼となりました。
その第1回目として、今回は松室孝樹さんが「縄文人の空間思想/列状・環状配列墓地の秘密―東近江市相谷熊原遺跡の発掘調査から―」と題してお話ししました。相谷熊原遺跡というと、日本最古の土偶が出土した遺跡として御存じの方も多いと思いますが、そのほかにも別の地点で縄文時代晩期の大規模な墓地(土器棺墓・土坑墓)が見つかっています。その位置や主軸(土器の向き)などから判断し、どのような配列基準でお墓が並んでいるのかを検討したお話でした。全体の質疑応答の後も、実際に見つかった土器を囲んで多くの質問もあり、初回から盛況となりました。
今年度も、これから開催する各講座の様子をお伝えしていきます(次回は6月1日に粟津湖底遺跡を題材として「琵琶湖との絆・先史の湖畔の村々」と題してのお話です)。