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熱心に説明に聞き入る参加者の皆さん |
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ヤスリを使って磨いていきます |
当協会の体験学習メニューの中に、「鋳物体験」があります。最近は出番が少なく、お蔵入り寸前の体験学習になっていましたが、野洲市歴史民俗博物館からの依頼を受けて、久しぶりの登場となった訳です。特に高島市上御殿遺跡の「謎の青銅短剣鋳型」に触発されて行ったわけではありません。同館で実施されている「古銭」の展覧会の関連企画として、本来は「和同開珎づくり」だったのですが、より人気の高い「鏡づくり」に変更して実施しました。
さて、鋳物体験は、市販の特殊ゴム製の鏡鋳型に低温融解の合金を流し込むことから始まります。今回の参加者は、大人3名と小学生3名・幼稚園児1名という内訳でした。幼稚園児のお子様はさすがに危険なので、お父さんと一緒の作業になりましたが、そのほかは自分で流し込む作業から体験していただけました。そして、自分で金属を流し込んだ鋳型を開ける時のドキドキ。金属の持つ不思議な性格と、それを活かした古代からの技術、十分に体感していただけたものと思います。
あとは、ひたすら磨く作業。はじめは耐水ペーパー、仕上げは仏具ミガキ「ピカール」。鍛冶体験もそうですが、金属系体験では「研ぎ」・「磨き」の作業が仕上がりを大きく左右します。そして、何故か、子供たちはこの作業に熱中すること著しいのです。
ここに、体験学習のポイントが隠されています。あと少しの「頑張り」が目に見えて「鏡の輝き」に反映される。「隣のおっちゃん」よりも輝く鏡を・・・・。10分・15分程度の少しの「頑張り」が、ダイレクトに結果に現れる。こうした行為は、日常生活の中ではなかなか体感できないことではないでしょうか。そこに、子供たちが熱中してくれる秘密があるのです。そして、この体験を通じて「もう少し頑張る」ことの大切さを子供たちが体感してくれたとすれば、主催者・企画者としてこれ以上の喜びはありません。