6月22日(土)に今年度最初の連続講座を開催しました。
今回の講座では「蒲生野をひらく 古代の開発と神社遺構」と題しまして、当協会の中村智孝さんが講師を務めました。
蒲生野とは滋賀県の湖東地域、とくに愛知川左岸の扇状地や段丘面がこれにあたります。『日本書紀』をはじめとする文献資料にもたびたび登場する蒲生野の開発がどのように行われたのかについて、中村さん自身が発掘調査を担当された東近江市金貝遺跡の発掘調査や周辺の遺跡の発掘調査でみつかった建物群、水路、銭貨の埋納遺構、神社遺構に着目して、開発のようすを復元されていました。
そして、結論として灌漑水路の規模や土器の埋納遺構、神社遺構などからみて、奈良時代のこの地域の開発には国家権力や国司の関与が想定できると説明されていました。蒲生野をはじめ、近江の湖東地域が古くから国家にとって重要な地域であったことが窺え、受講者の皆さんにとっても非常に興味深い講座だったのではないでしょうか。
次回の講座は7月27日(土)に開催予定です。こちらもお楽しみに。