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新近江名所図会

新近江名所圖會 第404回 秘仏に出会う―重要文化財・正福寺大日如来寺外初公開―

大津市

 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、残暑もようやくおさまり、朝晩はひんやりするようになりました。

写真1 滋賀県立美術館入口

 当協会のある「びわこ文化公園」ではこの秋もさまざまな催しが開催されます。とりわけ注目されるのは、滋賀県立美術館で開催される展示の中で、滋賀県立琵琶湖文化館との連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」です。湖南市の名刹正福寺の仏像を中心とし、県内の数多の文化財を創出し継承してきた豊かな文化を育んできた近江の風土・景観をあらわした作品の展覧会です。

 本展覧会では貴重な仏さまが複数おいでになりますが、特に正福寺のご本尊大日如来坐像(重要文化財)は国内最古級の胎蔵界大日如来像(平安時代・11世紀)であり、厳重な秘仏で普段は御目にかかれません。33年に一度しか公開されず、しかもお寺の外では初公開です。また、正福寺の本尊大日如来像ととても近い関係にあるという湖南市善水寺の不動明王坐像(重要文化財)も特別出展します。これら2像を中心に湖南地域の歴史と文化に触れることができます。

 また、両館から、近江の風景や祭りなどの風土を描いた作品も展示されます。滋賀県の風光明媚な情景と千年を越える仏像が湛える奥深い歴史を堪能できるのではないでしょうか。

写真2 公園管理事務所前の芝生広場 

おすすめポイント

 正福寺からは、秘仏の本尊大日如来像だけでなく、これまた平安期のうるわしい十一面観音立像が3体(すべて重要文化財)も来られます。いずれも堂々とした等身のお像で穏やかで優美な平安後期の特徴をそなえています。

 今回、ご本尊の大日如来や十一面観音が来られる湖南市(旧甲西町)の正福寺は、岩根山に所在し、奈良時代、聖武天皇勅願により良弁が開山したと伝えられる浄土宗寺院ですが、もとは天台寺院であったようです。本来仏さまはお寺で参拝させていただくべきものですが、現在本堂改築のためお寺のほうは令和7年3月31日まで拝観休止しています。同じく岩根山にある善水寺のお不動様もあわせて、寺外での尊像の公開はとても貴重な機会ですので、ぜひ、県立美術館でお出会いください。お堂の中とはまた違った魅力に出会えることと思います。

 会期:2023(R.5)年10月7日(土)~11月19日(日)
 開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
 休館日:毎週月曜日※10月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)は休館
 会場:滋賀県立美術館 展示室1
 ※詳しくは滋賀県立美術館、または滋賀県立琵琶湖文化館のHPをご覧ください。

周辺のおすすめ情報

 ◎kolmio in the museum

 県立美術館内のカフェ・ミュージアムショップ。美術館が2021年にリニューアルオープンしてからカフェ兼ショップに生まれ変わりました。美術館ならではの展覧会関連グッズや伝統工芸関係の物品、滋賀県内のこだわりの物産なども買えます。滋賀県産の材料を使った飲み物や軽食メニューもあります。

写真3 埋蔵文化財センター入口の色づきかけた紅葉

 ◎滋賀県埋蔵文化財センター

 埋文センターでは11月12日(日)まで、当協会の企画展示「人と自然―瀬田丘陵の開発史」を開催中です。くわしくは当協会HPをご覧ください。

 

 そのほか公園内には、さまざまな見どころがあります(名所図会第367回)。「彫刻の路」には野外に設置された美術品もありますし、今までにもご案内している源内峠遺跡という史跡もあります(名所図会第23回)。わんぱく原っぱの近くには「カフェボロンタ」という飲食施設もできました。秋の過ごしやすい季節、是非びわこ文化公園に遊びに来てください。

アクセス

写真4 公園内高台の上の四阿

【公共交通】JR琵琶湖線瀬田駅下車。帝産湖南交通バス滋賀医大方面ゆきに乗り、「文化ゾーン前」または「県立図書館・美術館前」下車(瀬田駅から約10分)。バス停から徒歩約5分。
【自家用車】名神高速瀬田西ICから5分、草津田上ICから3分。

(小竹志織)

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